石本 正の作品

「浄心」
1988(昭和63)年
ほぼシンメトリーの構図で、凛として立つ女性。こちらを真直ぐに見据える超然とした表情やポーズなどもあいまって、その姿は神秘的、あるいは象徴的にも感じられる。
1972(昭和47)年にも似た構図で『舞妓裸像』(個人蔵)という作品を発表しており、当時親交のあった文豪・川端康成はそれを「石本観音」と評した。本作はその作品を彷彿とさせる、60代の代表作のひとつ。彼は、聖なるもの、美しいものの象徴として生涯「女の美」を追求し描き続けた。