その他の作品「多留裕二」

映ろい
(2006年)
数年前から蓮を題材に描いている。私にとって、花や葉に量感があり、大きな画面に構成しやすいというところもあるのだが、あの深い神秘感を現代的に表現したいという想いが、描く毎に強くなって来る。早朝、開花したばかりの花は、午後に一度花を閉じ、翌朝みごとに咲き切り、そして散ってゆく。わずか3日程の花の命がことさらにその想いを深めさせるのかもしれない。形や現象にとらわれず、説明的に描き過ぎず、虚心に格調の高い神秘的な生命感を、ただ表現したいと願う。