生誕100年 回顧展 石本正
会期:2023年4月4日(火)~2023年5月28日(日)
会場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊 2 階
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石正美術館 生誕100年 回顧展 石本正
展覧会概要
美と感動を求め続けた日本画家・石本正
生涯のすべてをたどる初の大回顧展

 日本画家・石本正(1920-2015/島根県浜田市三隅町出身)が2020年に生誕100年を迎えたことを記念し、画業の全てをたどる初の回顧展を開催します。

 本展では、石本 正の個人美術館である 浜田市立石正美術館の門外不出の作品を含め、全国から集めた代表作など計約140点を一堂に公開し、青年時代から75年にも及ぶ画業の全容を振り返ります。
 没後のアトリエで新 たに見つかった素描や絶筆となった未完の「舞妓」も展示し、地位や名声を求めることなく、最期の瞬間まで絵画一筋に生きた石本の 生涯と創作の原点に迫ります。

各章詳細
第1章 画家となる 1920~1949年
 石本正は、1920(大正9)年に島根県那賀郡岡見村(現浜田市三隅町岡見)に生まれました。豊かな自然のなかで自由にのびのびと育ち、やがて20歳の時に絵を志して京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)に入学します。しかし楽しい学生生活もつかの間、第二次世界大戦の戦禍により召集され、半年繰り上げで卒業します。そして無事復員した彼は終戦直後の不安定な社会情勢のなか、本格的に画家としての道を歩み始めます。
田ノ浦海岸
田ノ浦海岸
1936(昭和11)年頃
個人蔵
軍鶏
軍鶏
1941(昭和16)年
浜田市立石正美術館蔵
自画像
自画像
1940年代
個人蔵(浜田市立石正美術館寄託)
少女〈野べに〉[大下絵]
少女〈野べに〉[大下絵]
1948(昭和23)年
浜田市立石正美術館蔵
きく像
きく像
1943(昭和18)年
個人蔵
第2章 画家としての挑戦 1950~1963年
 本格的に画家としての活動を始めてまもなく、先輩の日本画家・秋野不矩のすすめにより創造美術(のちの創画会)で作品発表をするようになります。創造美術は、戦後の時代に日本画の革新を掲げて創立されたばかりの団体でした。
 ここを舞台に風景や人物、鳥など描くモチーフを色々と試すように変え、技法にも工夫を凝らした作品を次々に発表していきました。変化に富む作品を通して、血気あふれる若い画家の挑戦の姿勢が見えてくる時代です。
五条坂風景〈五条坂〉
五条坂風景〈五条坂〉
1950(昭和25)年
個人蔵(浜田市立石正美術館寄託)
旅へのいざない
旅へのいざない
1951(昭和26)年
浜田市立石正美術館蔵
高原
高原
1953(昭和28)年
浜田市立石正美術館蔵
枇杷
枇杷
1953(昭和28)年
浜田市立石正美術館蔵
紅土の丘
紅土の丘
1958(昭和33)年
浜田市立石正美術館蔵
第3章 中世ヨーロッパと舞妓の画家 1964~1973年
 44歳の時、少年の頃からあこがれていたヨーロッパを初めて訪れます。この時に目にした本物の中世時代のフレスコ画の美しさに衝撃をうけた彼は、その後くり返しヨーロッパを訪れるようになりました。
 石本芸術を象徴する舞妓が多く見られるようになるのは、ちょうどこの時期に重なります。日本やヨーロッパの古典文化を深く心の中に吸収しながら、現代を生きる自分にしか描くことのできない新たな日本画を追究しようとしていました。
 やがて、日本画の裸婦表現に新風を吹き込んだとして高い評価を受け、50歳の時に第3回日本芸術大賞と第21回芸術選奨文部大臣賞を受賞します。しかしこれ以降すべての賞を辞退し、地位や名声を求めない姿勢を貫くようになりました。
舞妓
舞妓
1965(昭和40)年
浜田市立石正美術館蔵
裸婦
裸婦
1967(昭和42)年
個人蔵
のれん
のれん
1970(昭和45)年
個人蔵
舞子裸婦〈舞子裸像〉
舞子裸婦〈舞子裸像〉※左右1対
1972(昭和47)年
個人蔵
舞妓座像
舞妓座像
1970(昭和45)年
武田薬品工業株式会社蔵(浜田市立石正美術館寄託)
※京都会場特別出品
第4章 花と裸婦 1974~2000年
 次第に舞妓を題材とした作品が見られなくなり、裸婦や花が多く見られるようになっていきました。特に女性は彼にとって世の中で最も美しいものであり、その美の追求が永遠のテーマになっていました。
 この時代になると大きな技法の変化はあまり見られず、同じテーマを安定した技法でくり返し描いていることが特徴です。絵を描く時間を大切にしながら、じっくりと自分の絵に向き合って絵画の精神性が深まっていきました。
午睡
午睡
1977(昭和52)年
浜田市立石正美術館蔵
牡丹
牡丹
1989(平成元)年
浜田市立石正美術館蔵
黎明
黎明
1993(平成5)年
浜田市立石正美術館蔵
艶
1995(平成7)年
浜田市立石正美術館蔵
菊
1994(平成6)年
個人蔵(浜田市立石正美術館寄託)
第5章 絵をかくよろこび 2001~2015年
 80歳を迎えるころ、故郷における幼少期の楽しい経験が自らの絵の原点だと感じるようになった彼は、自分を育ててくれた故郷に作品を寄贈することを申し出ました。そのことがきっかけとなって石正美術館が開館します。以降の作品では、故郷をテーマにしたものも多く見られるようになっていきました。
 そして最後の瞬間まで絵を描きつづけ、95歳の生涯を閉じました。
ぼっこう
ぼっこう
2000(平成12)年
浜田市立石正美術館蔵
蟠竜湖の女
蟠竜湖の女
2001(平成13)年
浜田市立石正美術館蔵
湖畔
湖畔
2004(平成16)年
浜田市立石正美術館蔵
萩
2007(平成19)年
浜田市立石正美術館蔵
舞妓[未完]
舞妓[未完]
2015(平成27)年
浜田市立石正美術館蔵
石本正 Ishimoto Sho
石本正

島根県那賀郡岡見村(現浜田市三隅町岡見)に生まれた石本正(1920~2015)。絵を学ぶために故郷を離れた20歳以降ずっと京都を拠点に画家として活動し、鋭い古典研究をふまえた斬新な技法や人体のリアリズムの追究によって、戦後日本画壇を代表する画家の一人として注目を浴びました。

生涯、地位や名声を求めることなく、絵を描く心を大切にし続けた画家としての姿勢とすぐれた表現力は、今もなお多くの作家に影響を与えています。

※石本正についてもっと知りたい方は こちら(浜田市立石正美術館HP)

開催概要

【展覧会名称】生誕100年 回顧展 石本 正
【会  場】京都市京セラ美術館 本館 北回廊 2 階 公式ホームページ
【会  期】2023年4月4日(火)~2023年5月28日(日)
【観 覧 料】
当日券 一般1,800(1,600)円、大高生 1,400(1,200)円、中小生 1,200(1,000)円
前売券購入 日時指定予約は こちらから⇒ チケット購入
※( )内は前売りおよび 20 名以上の団体料金
※前売券販売期間:2023年2月17日(金)10:00~2023年4月3日(月)23:59まで

相互割引のお知らせ
下記の展覧会とそれぞれ相互割引を実施します。
本展観覧券(半券可)の提示にて当日料金から100円引き
(※1枚につきお一人様1回限り有効、他の割引との併用は不可)

・跳躍するつくり手展
会期:2023年3月9日(木)~6月4日(日)
会場:京都市京セラ美術館新館東山キューブ

・マリー・ローランサンとモード
会期:2023年4月16日(日)~6月11日(日)
会場:京都市京セラ美術館本館北回廊1階

・現代美術の動向展シリーズにみる美術館とアーティストの共感関係
会期:2023年4月28日(金)~7月2日(日)
会場:京都国立近代美術館

【開館時間】10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
【休 館 日】月曜日
【主  催】朝日新聞社、京都新聞、京都市
【特別協力】浜田市立石正美術館
【協  賛】NISSHA、京都中央信用金庫、竹中工務店
【出品目録】出品目録PDFはこちら

※展示作品や会期などについては、今後の諸事情により変更する場合があります。ご了承ください。

浜京都市京セラ美術館

※京都市京セラ美術館 アクセスマップ クリックで拡大

展覧会 お問い合わせ先: 075-771-4334 (京都市京セラ美術館 10:00~18:00)

関連イベントのご案内

記念講演会
会場:京都市京セラ美術館 講演室
※参加費無料 ※定員70名、先着順、会期中の観覧券が必要

・4月15日(土)15:00~16:30 西久松吉雄 氏
(浜田市立石正美術館館長・創画会会員・成安造形大学客員教授)

・5月5日(金・祝)15:00~16:30 森田りえ子 氏
(日本画家・京都市立芸術大学客員教授)

ギャラリートーク ※参加費無料、当日観覧券が必要
・4月23日(日)15:00~ 横山由美子 氏
(浜田市立石正美術館 主任学芸員)

・5月6日(土)/5月21日(日)15:00~ 大森奈津子
(京都市京セラ美術館 学芸員)

関連企画展のご案内

【展覧会名称】石本正―線に込める想い―
【会  場】中信美術館(京都市上京区西大路町136-3 TEL 075-417-2323)
【会  期】2023年4月11日(火)~5月31日(水) ※入場無料
【開館時間】10:00~17:00(入館は16:45まで)
【休 館 日】月曜日 ※5月1日(月)~ 5月8日(月)は臨時休館
【主  催】公益財団法人中信美術奨励基金、京都新聞
【協  力】浜田市立石正美術館、京都中央信用金庫
【後  援】朝日新聞社
【概  要】年代や対象によって移り変わる、石本正の《線》の表現の変化とそのこだわりに視点を置いた企画展

※最新情報については、「中信美術館」のホームページ https://www.chushin.co.jp/bijyutu/ にてお知らせをいたします。