日本画家・石本正は生涯「絵を描くことは楽しい。生きる喜びでもある」という言葉を大切にし、絵を描く楽しさを地域の人々に伝えたいという思いを持っていました。このため、2001年に美術館が開館してからの10年間は、80代という高齢にもかかわらず自ら講師をつとめる絵画教室を開催しました。
この「絵画教室」は、いわゆる〈絵の描き方〉を教えたりするものではありませんでした。
〈心に浮かぶ感動を絵にすることの楽しさ〉を自分自身で見つける。そのために彼も皆と一緒に夢中になって描き、絵を描く楽しさを共有・体感するという内容で、大人向けはもちろん、子ども向けの教室を開催したこともありました。中でも子ども絵画教室の時は、何かを教えるわけではないただただ楽しい時間の中で、自由な発想で自分なりの工夫をしながら絵を描く子供たちに、彼は柔軟な遊び心や感動を忘れず育ってほしいという願いをもって接していました。
当館はそのような石本正の考えのもと、ご来館くださる皆様に絵を描くことや観ることの楽しさを、鑑賞や体験を通してお伝えしていきたいと思っています。


【 《鑑賞》と《模写》 】 所要時間/約45分~1時間

画家が〈言葉にならない感動や思い〉を表現したものが絵です。それを鑑賞しての感想が、言葉にできないことだってあるんじゃないでしょうか。
石正美術館では、鑑賞する際の創作体験のひとつとして〈模写〉をお勧めしています。
しずかに絵と向き合い、気に入った作品の感想を自分なりに絵で表現する。本物の絵を見て、人に伝えたくなるような感動を形にする―。
当館では、そのような体験を少しでもしていただけたらと考えています。

【 石正美術館のワークシート】 

《鑑賞》と《模写》を手軽に体験できるワークシートをご用意しています。
コンセプトは《新聞記者になったつもりで石正美術館を取材・紹介する》。
最初に学芸員が石本正のことや美術館について簡単に説明します。その後、裏面のマップを見ながら自由に館内を探検して、1点だけ「なんだか気になる」作品を選びます。そこからは、作品と子どもたちの静かな対話の時間。鑑賞中には学芸員が子どもたちに話しかけたりして、会話をしながら選んだ作品への興味を深めるためのお手伝いをします。
おうちに帰って、家族や身近な人たちに石正美術館で見たものや感じたことを伝えるための新聞を作ってもらうスタイルになっています。

また、大人数で【密】になる時間が少ないため、新型コロナウィルス対策を気にしながらのグループ活動としてもおすすめです。

【準備していただくもの】
●A4サイズくらいの画用紙(ワークシートを使用しない場合)
●クリップボードなど下敷きとなるもの
●えんぴつ(シャーペンやボールペン不可)
●色えんぴつ又はクーピー(クレヨン不可)
※消しゴムは展示室内では使えません。


【塔の天井画見学】 所要時間/約15分 1グループ15名程度

当館には、石本先生が長年画家として歩む中で、大切に育んできた思いのすべてを形にした天井画があります。
― 絵を描くたのしさとは。
― 地域における本物の文化とは。
先生の思いをもとに約900名の人々が参加して描き上げられたこの天井画は、石正美術館の象徴的存在であり、地域の未来を担う子どもたちに是非見てもらいたい宝物です。

※約50段の螺旋階段を使って、高さ14mの塔の最上階に上がります。高いところが怖くて階段を上がれない場合は無理して上がらず、1階ロビーで天井画がどんなところか見る事が出来るビデオをご覧いただけます。

【創作体験/石州和紙と顔彩を使って絵を描こう】
所要時間/約1時間 体験料/150円(1人)

《顔彩》は、水彩絵具のように水で溶かして簡単に使うことのできる日本画材のひとつです。日本画特有の色が入っていて、発色が美しいのが特徴です。
この顔彩をつかって、伝統的工芸品「石州和紙」のハガキに絵を描きます。石州和紙に顔彩が美しくにじみ、普段の水彩絵具と画用紙では味わうことのできない感動が体験できます。

※同じ三隅中央公園内にある石州和紙会館の《紙漉き体験》と組み合わせて、自分で漉いた石州和紙ハガキに描くのも特別な体験になって楽しいですよ♪
℡石州和紙会館/0855(32)4170

たっぷり時間があれば、こんなことも…

【日本画の絵具を使ってみよう】 
体験料/描く和紙のサイズによって異なります。
(例)A4サイズ600円、ハガキサイズ200円(1人)石正美術館は《日本画専門の美術館》として、創作体験に使うことができる日本画材も豊富に揃えています。
日本に昔からあるものなのに、普段なかなか目にしたり触ったりすることのない日本画の絵具。絵具そのものの美しさも、日本画の素晴らしいところです。それを実際に見て触れるだけでも、さまざまな感動と発見があるはずです。
ただし日本画の絵具は、顔料を膠(日本画のメディウム※)と混ぜながら使う色を1色ずつ作るので、この体験には少しまとまった時間が必要です。長期休暇中の課外活動やクラブ活動などに最適です。
年代に応じて創作の手順も工夫します。お気軽にご相談ください。

※顔料を定着させるための展色剤

先生も一緒に楽しみましょう♪

引率の先生も、ぜひ子どもたちと一緒にワークシートや創作を体験してください。子どもたちにとって、家族以外で最も身近な大人である先生方が〈自分たちと同じこと〉に熱心に取り組む姿は、何よりの楽しい刺激になります。
先生も児童・生徒も関係なく「一緒に楽しむ」。これが石本先生が実践されていたこと。当館が一番オススメしたいことです。


【鑑賞プログラム例】
例①展覧会鑑賞(ワークシート使用) …所要時間/約45分~1時間

例②展覧会鑑賞+天井画見学 …所要時間/約1時間~1時間15分

例③展覧会鑑賞+創作体験 …所要時間/約1時間45分~2時間


このたびご紹介したのはあくまで一例です。ご相談させていただきながらより良い美術館利用のあり方を探っていけたらと思います。可能な限り、事前の下見と打ち合わせをお願いいたします。


【お申込み方法】
①まずはお電話でお気軽にご連絡ください。日程や内容のご相談をさせていただきます。
②ご利用当日までに、できるだけ美術館での下見・打ち合わせをお願いいたします。この時の先生方の観覧料はいただきません。

【観覧料について】
浜田市内の小・中学校およびこれに準ずる機関が、教育課程に基づく教育活動として教職員に引率されて観覧し、または利用するとき、観覧料を免除しています。利用に際して、当館あてに「減免申請書」を提出していただきます。
減免申請書は、下記よりダウンロードできます。

減免申請書のダウンロード

 

浜田市以外の学校の場合は観覧料が必要となります。ご了承ください。
〈小中学生200円(20名以上の団体160円)〉 ※2020.7月現在

【引率される先生へのお願い】
事前に《美術館での3つのルール》を学校で生徒にお伝えください。
3つのルール/さわらない・走らない・さわがない(静かな声で)

【新型コロナウィルス感染予防対策について】
・マスクの着用をお願いします。
・アルコール消毒液等は可能な限りご持参ください。
・来館前に生徒全員の検温をお願いいたします。
・館内で行っている対策の詳細についてはこちら《石正美術館をご利用のみなさまへ》をご覧ください。