石本 正の作品
「二人の踊子」
1972(昭和47)年
小説家・川端康成(1899-1972)が自死によってこの世を去ったのは、本作を発表した個展開催の数ヶ月前のことだった。川端は、石本が描く女の官能美を高く評価していた。また石本は、川端の小説の中の“はかなく哀愁をおびた妖しいまでの美しい女たち”の姿が、自らが表現したいと願う世界に共通していると感じ、川端文学を愛した。互いの芸術性に惹かれあい、2人の間には親交があった。
本作は発表当時の個展で、上に描かれた女が「雪国」の駒子、下の女が「伊豆の踊子」のイメージと重なる、と話題となった作品。この時自身でも、「こんどの個展の作品では、自分でも知らないうちに先生の作品を追っていることに気がつきます。先生への鎮魂の思いが動いていることはいなめません」〔週刊朝日/1972(昭和47)年〕と語っている。
本作は発表当時の個展で、上に描かれた女が「雪国」の駒子、下の女が「伊豆の踊子」のイメージと重なる、と話題となった作品。この時自身でも、「こんどの個展の作品では、自分でも知らないうちに先生の作品を追っていることに気がつきます。先生への鎮魂の思いが動いていることはいなめません」〔週刊朝日/1972(昭和47)年〕と語っている。