石本 正の作品
「舞妓 夏の終わり」
1971(昭和46)年
2016年の秋、東京・築地の料亭「河庄双園」が65年の歴史に幕を閉じた。本作は、昭和50年頃に開催された石本正の個展の際に料亭の初代女将が一目で気に入って購入し、店の玄関正面に飾っていたものである。二代に渡って女将に大切にされ、なじみの客にも愛され続けたが、その後縁あって当館へ収蔵されることになり、画家のふるさとへ里帰りを果たした。
着物を軽く身にまとわせ、肌をあらわにした二人の舞妓。「竹林の七賢人」を模して舞妓を描いた屏風「舞妓」以降、彼は竹林を背景にした舞妓像を数点描いている。しかしそのほとんどが着衣の着物姿のうえに、屏風の舞妓裸婦は消されてしまったため、現在確認できている「舞妓裸婦と竹林」の組み合わせによる作品は本作のみである。
金箔地に竹林、舞妓という、表現もモチーフも日本画で多く取り上げられてきた古典的なものでありながら、舞妓たちの肌にうっすらと残る水着跡が現代的なにおいを漂わせる。モチーフとしての“舞妓”ではなく、着物を脱いだ彼女たちを通して「日本の女」の本質に迫ろうとしているような表現だ。あどけなさを残しながら、哀愁や高潔さなど彼女たちの様々な内面を感じさせる表情も、この作品の魅力のひとつといえる。
着物を軽く身にまとわせ、肌をあらわにした二人の舞妓。「竹林の七賢人」を模して舞妓を描いた屏風「舞妓」以降、彼は竹林を背景にした舞妓像を数点描いている。しかしそのほとんどが着衣の着物姿のうえに、屏風の舞妓裸婦は消されてしまったため、現在確認できている「舞妓裸婦と竹林」の組み合わせによる作品は本作のみである。
金箔地に竹林、舞妓という、表現もモチーフも日本画で多く取り上げられてきた古典的なものでありながら、舞妓たちの肌にうっすらと残る水着跡が現代的なにおいを漂わせる。モチーフとしての“舞妓”ではなく、着物を脱いだ彼女たちを通して「日本の女」の本質に迫ろうとしているような表現だ。あどけなさを残しながら、哀愁や高潔さなど彼女たちの様々な内面を感じさせる表情も、この作品の魅力のひとつといえる。