石本 正の作品

「サン・ジミニャーノ」
1987(昭和62)年
サン・ジミニャーノは『塔の街』と呼ばれ、小さな街に15もの塔が現存する。かつて、この地に住む人々が競って塔を建て、街を美しく飾ったのだと言う。「何か目的があってそうしたのではなく、ただ街を美しく飾りたかった ― そうした無償の遊びをよろこぶ夢のあるイタリア人が、私は好きである。そして面白いと思う」と石本は話す。画家は、街の中央広場近くの美術館の上の塔にのぼり、街を描いた。広場の真ん中に見える古井戸は中世そのままの姿だ。周囲に残る中世の住宅や塔と調和している。