石本 正の作品

「三人の少女」
1947(昭和22)年頃
1947年《第3回日本美術展覧会(日展)》で初入選した「三人の少女」のもとになった素描。
残念ながら「三人の少女」の実物は残っていないが、発表当時、福田平八郎氏(日本画家・1892-1974)に激賞され、これが石本正の名が初めて世に出た瞬間だった。この絵は、ルネサンス初期に活躍した画家・ボッティチェルリ(1445-1510)の「春」に描かれた三女神をイメージした作品だった。「春」は彼にとって憧れの作品のひとつだったが、その頃まわりにはボッティチェルリの名前を知っている人はほとんどいなかった。それでも自分が美しいと思うものを信じ、そのイメージを重ねたのだった。