石本 正の作品

「糺の森」
1969(昭和44)年
「糺(ただす)の森」は、京都の中心に位置する賀茂御祖神社(下鴨神社)の境内に広がる原生林で、国の史跡であるだけでなく、神社全域がユネスコの『世界文化遺産』にも登録されている森だ。
石本正は40代後半の頃、この森に自生する木々の精気を感じ、“たくさんの木の中から自分の木を探して”何十枚もの素描を描いた。黒のコンテなどを使って力強く描かれた生きもののような枝ぶりや、芽吹きの様子を表現した枝先を覆う霞のような円弧の表現が、素描でありながら不思議な生命感と詩情性を漂わせている。