石本 正の作品

「樹根と鳥」
1957(昭和32)年
胃潰瘍で5カ月ほど入院した時のことだ。お見舞いの方が水耕栽培のヒヤシンスをくださった。ガラス瓶の中のヒヤシンスを見ていたら、ゆるやかなカーブに沿って伸びる白い根にとても興味をそそられ、もし自分が水の中で虫になれたらどんなだろうかと思った。作品にする際、虫のかわりに大好きなポール・クレーの「アド・マルギネム」の鳥を採り入れて描いた。