石本 正の作品
「舞妓(未完)」(絶筆)
2015(平成27)年
2015年9月26日、画家・石本正は静かにこの世を去った。
主のいなくなったアトリエには、30点近くの描きかけの作品が遺されていた。ただし未完とはいえ、それらの作品は画家の衰えを微塵も感じさせない力強さがあった。何色もの絵具が複雑に重ねられた画面や、手の動きのスピードを物語る木炭やパステルの筆致は、画家の生前の息遣いを一層強く伝えているようだ。絶筆となった本作もその1つ。
晩年ずっと「描きたいものが次々と浮かんでくる」と周囲に言い続けていたが、亡くなる前、ごく身近な人に「もう描きたいものが浮かんでこなくなった」と漏らしたという。持病を抱え、何度も命の危機に直面しながらもその度に生還し、1点でも多くの作品を残すため制作を続けた。
「感動こそ我が命」。まさにこの言葉の通り、心震わせる感動を最期まで描き尽くしたその時、画家はこの世を後にした。当館に収蔵されている約2000点にのぼる作品1つ1つには、生涯を懸けて美への感動を追求し続けた画家の魂が込められている。
主のいなくなったアトリエには、30点近くの描きかけの作品が遺されていた。ただし未完とはいえ、それらの作品は画家の衰えを微塵も感じさせない力強さがあった。何色もの絵具が複雑に重ねられた画面や、手の動きのスピードを物語る木炭やパステルの筆致は、画家の生前の息遣いを一層強く伝えているようだ。絶筆となった本作もその1つ。
晩年ずっと「描きたいものが次々と浮かんでくる」と周囲に言い続けていたが、亡くなる前、ごく身近な人に「もう描きたいものが浮かんでこなくなった」と漏らしたという。持病を抱え、何度も命の危機に直面しながらもその度に生還し、1点でも多くの作品を残すため制作を続けた。
「感動こそ我が命」。まさにこの言葉の通り、心震わせる感動を最期まで描き尽くしたその時、画家はこの世を後にした。当館に収蔵されている約2000点にのぼる作品1つ1つには、生涯を懸けて美への感動を追求し続けた画家の魂が込められている。