石本 正の作品

「踊子」
1950(昭和25)年
この頃の石本は、ピカソの「青の時代」に憧れていた。ある時、その絵に登場する女性とよく似たモデルに出会った。彼女はバレエを習っていた。彼女を見ていて、サーカスに心惹かれていた幼い頃を思い出し、踊子のもつ命のはかなさや美しさを描きたくなった。出番を待つ踊子の不安と期待が入り混じった複雑な表情の中に、創られた美しさと少女の悲しみを描き出そうとした。