石本 正の作品

「横臥舞妓」
1967(昭和42)年
(第31回新制作協会展出品作品)
日本画に描かれる舞妓といえば、白粉で化粧して美しく着飾った姿をはんなりと描く、どこか“きれいごと”の絵画が多い中で、石本はその舞妓の装飾性の象徴である着物を排除し、日本髪と簪、白粉のみを残した裸の姿を描いた。普段は着物で隠れている白粉と素肌の境界は、女としての色香を一層強く漂わせ、重量感さえ感じる身体の表現は、現実の女性を見るよりもリアルに血の通った肉体を思わせる。肉体表現のリアリティーを追求し、彼女達の人間性や内面性まで迫ろうとしているようだ。