【ギャラリー 】「生誕100年 回顧展 石本 正」関連素描展④風景 が始まりました(5/19まで)

本展では、日本画家・石本正の創作の原点ともいえる素描作品を4期に分けてご紹介しています。

第4期は、石本のスケッチの中でも特に人気の高いヨーロッパ風景です。
1969年から1989年までの20年間に9回行われた中世ヨーロッパ美術をめぐる旅。
この旅は、石本が若い頃から憧れてやまない中世の絵画や彫刻などを見て廻ることが主な目的でした。

しかし、憧れの作品からじかに感動を得るだけでなく、その土地に住む人々の考え方にも深い感銘を受けていきます。
古い家並みや芸術作品を町の誇りとし、大切に守り伝えながら生活する人々。
かつて城塞都市として栄えた名残りか訪れる土地ごとに固有の文化があり、個性がありました。
この時に石本が感じた「ローカリティー(地域性)」の魅力と重要性は、石正美術館の成り立ちにも深く関わっています。

今回の展示では、何度もヨーロッパを旅する中で、石本が心惹かれ描いた風景の数々を画家の言葉とともにご紹介します。

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【会期】2022年4月29日(金・祝)~5月19日(木)
午前9時~午後5時
※観覧無料
休館日:月曜日
会場:石正美術館 ギャラリー
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ところで…
石本先生の風景スケッチを近くで観察すると、
ぱっと見ただけでは何で描かれたか分かりにくい、
粘り気?があるような不思議なマチエールがあることに気が付きます。👀

これは
「子供には高価で、専門家には質が悪い
―というわけで最近は使う人も少なく、手に入りにくい」
と先生が『画文集 我がイタリア』(1991)で語っている《ペンテル》による質感です。

この《ペンテル》というのは、ぺんてる株式会社のオイルパステルのことで、今も同じようなシリーズが出ています。
石本先生は、このうち5色くらいをとても気に入って使っていたようです。
一緒に旅に行き、先生のスケッチの様子をずっと後ろで見ていたという教え子さんによると、

「ザザーッ」と木炭で一気にあたりをつけ、
「ザザザーッ」と画面をこすったあと、
「サッサッ」と消しゴムで形を浮き上がらせ、
「ゴシゴシッ」と色を付けて、
「チョイチョイ」と鉛筆で線を描いたと思ったら、もう出来てる!

みたいな感じで、スケッチ1枚がすごいスピードで仕上がってたそうです😲。
目の前の空気をそのまま閉じ込めたような石本先生のヨーロッパ風景スケッチ。
ぜひ本物を見に来てくださいね。(学芸員Y)

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